【2025年最新】デイサービスの料金は結局いくらかかるの? 仕組みと目安を施設長がわかりやすく解説
「親にデイサービスに行ってほしいけれど、毎月の支払いが心配……」
「料金表をもらったけど、数字と専門用語ばかりでさっぱりわからない」
「あとから高額な請求が来たらどうしよう」
今、このページをご覧になっているあなたは、そんな不安を抱えているのではないでしょうか。
大切なご家族のことですから、お金の悩みは少しでも早くクリアにしておきたいですよね。
「デイサービスはお金がかかる」というイメージがあるかもしれませんが、実は仕組みさえ分かってしまえば、決して怖いものではありません。
スマホの料金プランのように、「基本料」+「オプション」+「使った分」と考えれば意外とシンプルなのです。
この記事では、現役のデイサービス施設長としての経験を活かし、2024年(令和6年)の最新情報をもとに、どこよりもわかりやすくデイサービスの料金について解説します。
「要介護3で週3回通ったらいくら?」といった具体的な計算も紹介しますので、読み終える頃には、電卓を叩かなくてもおおよその費用がイメージできるようになっているはずです。
ぜひ、コーヒーでも飲みながらリラックスして読んでみてください。
1. まずは結論! デイサービスの1日あたりの相場

結論から申し上げます。
一般的なデイサービス(通所介護)を利用する場合、1日あたりの自己負担額(食事代込み)の目安は、だいたい以下の通りです(1割負担の方の場合)。
- 要介護度が軽めの方(要介護1〜2):1,500円 〜 2,000円くらい
- 要介護度が重めの方(要介護3〜5):2,000円 〜 2,500円くらい
「思ったより安い?」それとも「意外と高い?」と感じられたでしょうか。
もちろん、選ぶ施設や利用する時間によって変わりますが、
「だいたい1回行くと2,000円くらい」
と覚えておけば、大きく外れることはありません。
週に2回通うなら、月額で1万5千円〜2万円弱。
習い事の月謝と同じくらいの感覚ではないでしょうか。
では、なぜその金額になるのか。
ここから少し詳しく、でも平易な言葉で「料金の仕組み」を紐解いていきましょう。
2. 料金が決まる「3階建て」の仕組み

デイサービスの請求書を見ると、たくさんの項目が並んでいて驚くかもしれません。
でも、これらはバラバラに存在しているのではなく、大きく分けてたったの「3つ」の要素で構成されています。
私はこれを、わかりやすく**「料金の3階建て」**と呼んでいます。
【1階部分】基本料金(全員にかかるベース費用)
これは、レストランに入った時の「コース料金」や、スマホの「基本プラン」のようなものです。
デイサービスに行けば、必ず発生する費用です。
この金額は、主に以下の3つの要素で決まります。
- 要介護度: 介護の手間がかかるほど(要介護度が高いほど)、点数が高く設定されています。
- 利用時間: 滞在時間が長いほど高くなります。「3〜4時間」「5〜6時間」「7〜8時間」などと区分されています。
- 施設の規模: ここが少し意外なポイントです。実は、「小規模な施設(地域密着型など)」の方が少し高く、「大規模な施設」の方が安く設定されています。 「大きいほうが高いんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、逆なんです。少人数の施設は、一人ひとりに対して手厚い人員配置が必要になるため、その分コストがかかるという考え方です。アットホームな環境でじっくり見てもらいたい場合は、少し料金が高くても小規模な施設が選ばれています。
【2階部分】加算(オプション料金)
これは、基本サービスにプラスして受けた「特別なサービス」への対価です。 「ランチセットにデザートをつける」「スマホに留守番電話機能をつける」といったイメージです。
- 入浴介助加算: お風呂に入った場合にかかります。単に体を洗うだけでなく、服の脱ぎ着の見守りや、皮膚の状態確認なども含まれます。
- 個別機能訓練加算: リハビリの専門職などが、個別のプログラムで運動指導をした場合にかかります。
- 処遇改善加算: これは少し特殊ですが、介護職員の給与や待遇を良くするために、国が決めたルールに基づいて全員に数%上乗せされるものです。「良い人材を確保して、良いケアを提供し続けるための費用」と考えていただければと思います。
【3階部分】実費(お財布から直接払う費用)
ここは介護保険(1割〜3割負担)が効きません。全額自己負担となります。
- 食費: 昼食代やおやつ代です。施設によって違いますが、600円〜800円程度が相場です。手作りごはんにこだわっているところ、お弁当のところなど様々です。
- 日用品費・教養娯楽費: おむつを使った場合の実費や、レクリエーションで使う材料費(手芸の材料、書道の半紙代など)です。
「1階(基本)+ 2階(加算)+ 3階(実費)」 この3つを足した合計金額が、毎月の請求額になります。
3. 【シミュレーション】要介護3の方が利用した場合

仕組みがわかったところで、具体的な数字を見てみましょう。
今回は、
**「要介護3」の方が、「5時間以上6時間未満」**
で利用するケースを計算してみます。
長すぎず短すぎず、リハビリをしてお風呂に入ってご飯を食べて帰る、というちょうど良い時間設定です。
※計算をわかりやすくするため、1単位=10円(1割負担)で計算しています。
地域(東京や大阪などの都市部)によっては、地域加算といって少し単価が高くなることがありますが、目安としてご覧ください。
モデルケース:要介護3・週3回利用
- 利用者:80代女性(要介護3)
- 施設:地域密着型デイサービス
- 時間:5時間以上6時間未満
- 内容:入浴あり、リハビリ(個別機能訓練)あり
★1日の料金内訳
| 項目 | 単位数など | 計算式(目安) | 自己負担額(1日) |
|---|---|---|---|
| ① 基本料金 | 896単位 | 896 × 10円 × 0.1 | 約 896円 |
| ② 入浴介助 | 40単位 | 40 × 10円 × 0.1 | 約 40円 |
| ③ 個別機能訓練 | 56単位 | 56 × 10円 × 0.1 | 約 56円 |
| ④ その他加算 | 処遇改善など | 全体の約15%程度 | 約 150円 |
| ⑤ 食費(実費) | – | 全額自己負担 | 約 650円 |
| 合計 | 約 1,792円 |
※④の加算は事業所の体制によって異なりますが、概算で入れています。
※⑤の食費は施設により異なります(ここでは650円で計算)。
★1ヶ月(週3回=月12回)の総額目安
1,792円 × 12回 = 約 21,504円
いかがでしょうか。
要介護3というと、介護の手間も増えてくる段階ですが、月額2万円ちょっとで、週に3回プロのケアを受けられます。
この時間、ご家族は介護から解放されて仕事に行ったり、休んだりすることができます。
また、ご本人もお風呂に入って清潔を保ち、リハビリで体を動かし、栄養のある食事をとることができます。
この金額を「高い」と感じるか、「安心料」と感じるかは人それぞれですが、生活のリズムを作るための投資としては、非常にコストパフォーマンスが高いものではないかと私たちは考えています。
4. なぜ「人によって」「施設によって」値段が違うの?

ご近所さんと話していて、「うちはもっと安いわよ?」と言われたり、逆に「隣町のデイサービスはもっと高いらしい」と聞いたりして不安になったことはありませんか?
料金が変動するのには、ちゃんとした理由があります。
不正に請求されているわけではないので安心してくださいね。
理由①:負担割合(1割・2割・3割)が違う
これが一番大きな理由です。 介護保険は、ご本人の所得によって負担割合が変わります。
- 1割負担:一般的な所得の方
- 2割・3割負担:現役並みに所得がある方
「介護保険負担割合証」というピンク色などのカードが届いているはずですので、そこに「1割」と書いてあるか、「2割」と書いてあるかを確認してみてください。
2割の方は、単純に支払いが2倍になります。
理由②:住んでいる「地域」が違う(地域区分)
先ほどの計算では「1単位=10円」としました。
基本的には「1単位=約10円」と考えていただいて大丈夫です。
ただ、厳密には住んでいる地域によって少しだけ単価が変わります。
人件費や家賃が高い都市部(大阪市や東京など)では、10円ではなく、10.7円や10.9円のように少し高く設定されています。
そのため、実際の請求額は、計算上の金額より数十円〜数百円ほど高くなることがある、と頭の片隅に置いておいてください。
理由③:利用時間が違う
「朝から夕方まで(7-8時間)」いる方と、「お昼ご飯を食べたら帰る(3-4時間)」方では、当然料金が違います。
最近は「リハビリだけして半日で帰りたい」「お風呂だけ入って帰りたい」という短時間のニーズも増えています。
5. よくある質問にお答えします(Q&A)

ここでは、料金表にはあまり詳しく書かれていないけれど、ご家族が「これってどうなの?」と疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1. 送迎にお金はかかりますか?
A. 基本的にはかかりません。
デイサービスの基本料金の中に、自宅から施設までの送迎費用も含まれています(「送迎減算」といって、家族が送迎する場合に逆に安くなる仕組みがあるくらいです)。
ただし、通常の送迎エリアを越えて遠くの施設を利用したい場合などは、別途交通費がかかることがあります。
契約前に「うちは送迎エリア内ですか?」と確認しておくと安心です。
Q2. 休んだらキャンセル料は取られますか?
A. 施設によってルールがありますが、食事代がかかることが多いです。
多くのデイサービスでは、急な欠席に対してキャンセル料を設定しています。
よくあるのが**「利用当日の朝8時半までなら無料、それ以降は食事代の実費をいただきます」**というルールです。
食材を発注してしまっているためです。
また、体調不良などやむを得ない事情ではなく、連絡なしで勝手に休んだ場合などは、システム上のキャンセル料が発生することもあります。
「いつまでに連絡すれば無料ですか?」と最初に聞いておくのがトラブルを防ぐコツです。
Q3. おむつ代はかかりますか?持ち込みはできますか?
A. 持ち込めば無料、施設のを使えば実費です。
ほとんどの施設では、普段使っている紙パンツやパットを持参すれば、費用はかかりません(交換の手間賃は介護保険に含まれています)。
もし持参するのを忘れてしまったり、足りなくなって施設の備蓄品を使った場合は、1枚◯◯円という実費が請求されます。
名前を書いて持たせてあげるのが一番節約になります。
Q4. 祝日やお正月は料金が高くなりますか?
A. 基本的には変わりません。
ただ、年末年始(12/30〜1/3など)はお休みの事業所が多いです。
営業している場合でも、食費が「お正月メニュー」で少し高くなることはあるかもしれません。
Q5. 支払いが大変になったら、どうすればいいですか?
A. 「高額介護サービス費」という救済制度があります。
もし、要介護度が高くて毎日利用したり、ショートステイなども併用して、月の支払いがとても高額になってしまった場合でも安心してください。
世帯の所得によりますが、一般的な所得の方であれば、月額44,400円を超えた分の介護保険自己負担額は、申請すれば後で戻ってきます。
「どんなに使っても、介護保険部分は月4万5千円くらいが上限」というセーフティーネットがあることを覚えておいてください。
6. まとめ:料金は「安心」と「時間」への投資

ここまで、デイサービスの料金について解説してきました。
月々2万円前後のお金というのは、決して安い金額ではないかもしれません。
家計を預かる身としては、悩むこともあるでしょう。
しかし、その対価として得られるものは、単なる「時間の預かり」だけではありません。
- ご本人の変化: 家に閉じこもっていた親御さんが、外に出て人と話し、笑うようになる。栄養バランスのとれた温かい食事を食べる。お風呂に入ってさっぱりする。この刺激が、生活意欲の維持に繋がります。
- ご家族の時間: 介護から数時間でも解放され、買い物に行ったり、仕事をしたり、ただゆっくりコーヒーを飲んで一息ついたりする時間ができる。この「心の余裕」が、優しく接するためのエネルギーになります。
デイサービスへの支払いは、ご本人の健康と、ご家族の平穏な生活を守るための**「必要な投資」**だと考えてみてはいかがでしょうか。
多くのデイサービスでは、**「無料体験」や「見学(食事代のみ実費)」**を行っています。
「まずは料金の見積もりだけ作ってほしい」というリクエストも大歓迎です。
私たち施設長や相談員は、お金のことも含めて相談に乗るのが仕事です。
「要介護3で、お風呂に入れて、予算はこれくらいで……」と正直に伝えていただければ、最適なプランを一緒に考えます。
まずは一度、お近くのデイサービスやケアマネジャーさんに相談してみてくださいね。
この記事が、あなたとご家族の安心な生活の一助となれば幸いです。
