気持ちの切り替えが苦手な子どもへの声かけは?家庭でできる関わり方【第2弾】
「何回言っても切り替えられない…」声のかけ方に悩んでいませんか?
「もう帰るよ!」
「ゲームはおしまい!」
「早く着替えて!」
毎日の生活の中で、何度も同じことを伝えているのに、お子さまがなかなか次の行動へ移ってくれないことはありませんか?

第1弾では、子どもが気持ちを切り替えにくい背景には、「まだ続けたい」という気持ちだけでなく、次の予定が分からないことへの不安や、時間の感覚の分かりにくさ、予定変更への戸惑いなど、さまざまな理由が考えられることをご紹介しました。
理由があることは分かっていても、実際の生活ではそう簡単にいかないですよね。
朝の忙しい時間に着替えてくれない。
公園から帰らなければ夕食の準備が遅れる。
ゲームを終えないと宿題やお風呂へ進めない。
保護者の方にも予定がありますから、毎回ゆっくり待てるわけではありません。
何度言っても動いてくれないと、
「いい加減にして!」
「何回言ったら分かるの?」
と強い言葉が出てしまうこともあるでしょう。
しかし、切り替えが難しいお子さまの場合、言葉を強くしたり何度も繰り返したりすることで、かえって気持ちの切り替えが難しくなることがあります。
大切なのは、何度も「切り替えて」と求めることだけではなく、お子さま自身が次の行動へ移りやすくなる伝え方や環境をつくることです。
今回は、「公園から帰れない」「ゲームをやめられない」「朝の準備が進まない」など、ご家庭で起こりやすい場面を取り上げながら、気持ちの切り替えを支える声かけや関わり方をご紹介します。
「今すぐやめて!」より、少し前から予告してみましょう
切り替えが苦手なお子さまにとって、突然活動を終わらせることは大きな負担になる場合があります。
例えば、公園で夢中になって遊んでいるところへ突然、
「はい、帰るよ!」
と言われたら、お子さまの中では、
「まだ遊んでいる途中なのに!」
「急に終わりになった!」
という感覚になることがあります。
大人でも、集中している仕事を突然中断するよう求められれば、すぐに気持ちを切り替えるのが難しいことがありますよね。
そこで試したいのが、終わる少し前に予告することです。
例えば、
「あと10分遊んだら帰ろうね」
「あと3回滑ったらおしまいにしよう」
「この動画が終わったらお風呂に行こう」
と、終わりを事前に知らせます。
ただし、「あと5分」と言われても、時間の長さをまだイメージしにくいお子さまもいます。
その場合は、
「長い針がここまで来たら」
「タイマーが鳴ったら」
「あと2回やったら」
など、目で確認できるものや具体的な回数を使うと、より分かりやすくなります。
ポイントは、突然終わらせるのではなく、「終わりが近づいている」と分かる時間をつくることです。

「ダメ!」だけではなく、次にすることを伝えてみましょう
「ゲームはもうダメ!」
「テレビはおしまい!」
「遊ばない!」
このように「今していることをやめる」だけを伝えると、お子さまには「楽しいことを取られた」という印象だけが残ることがあります。
そこで、
「ゲームはおしまい。次はお風呂だよ」
「テレビを消したら、ご飯にしよう」
「おもちゃを片付けたら、一緒に絵本を選ぼう」
というように、終わった後に何をするのかまで伝えてみましょう。
次の予定が分かることで、「今の活動が終わった後」のイメージを持ちやすくなります。
特に、言葉だけでは予定を理解しにくいお子さまには、
ゲーム → お風呂 → 絵本 → 寝る
のように、写真やイラストで順番を見せる方法もあります。
「やめなさい」という指示だけではなく、「次はこれだよ」と進む方向を示すことがポイントです。

「まだやりたい!」という気持ちを否定しない
公園から帰る時間になったとき、
「まだ遊びたい!」
と言われたら、
「もう十分遊んだでしょう!」
と返したくなることもあるでしょう。
しかし、お子さまが「まだ遊びたい」と感じていることと、「帰らなければならない」ことは別の問題です。
帰る必要があるからといって、お子さまの「まだ遊びたい」という気持ちまで否定する必要はありません。
例えば、
「まだ遊びたかったね」
「楽しかったから、終わりたくなかったんだね」
と、まず気持ちを言葉にします。
そのうえで、
「でも今日は帰る時間だよ」
「また今度遊びに来ようね」
と伝えます。
これは、お子さまの要求をすべて受け入れるという意味ではありません。
気持ちは受け止める。でも、必要なルールや予定は変えない。
この二つを分けて考えることが大切です。
「気持ちを分かってもらえた」と感じることで、次の行動へ移りやすくなるお子さまもいます。

怒っている最中にたくさん説明しすぎない
お子さまが大泣きしたり、強く怒ったりしていると、
「明日は学校だから早く帰らないといけないでしょう」
「さっき5分前って言ったよね?」
「約束したんだから守らないとダメだよ」
と、理由を説明したくなることがあります。
もちろん、ルールや理由を伝えることは大切です。
しかし、気持ちが大きく乱れている最中は、長い説明を受け止める余裕がない場合があります。
そんなときに説明を重ねると、さらに言葉が増え、お子さまが混乱してしまうこともあります。
まずは安全を確保し、
「まだ遊びたかったね」
「悔しかったね」
「ここで少し待とう」
など、短く分かりやすい言葉で関わります。
ルールや次回どうするかについて話すのであれば、少し落ち着いてからのほうが伝わりやすい場合があります。
「今伝えなければならないこと」と「落ち着いてから話せること」を分けるのも、大切な工夫です。

「何回言ったら分かるの?」がうまくいきにくい理由
何度伝えても動いてくれないと、
「何回言ったら分かるの?」
「さっきも言ったでしょう!」
と言いたくなることがあります。
ただ、お子さまが「分かっていない」とは限りません。
「帰る時間だと分かっている。でもまだ遊びたい」
「宿題をしなければならないと分かっている。でもゲームを終えるのが難しい」
ということもあります。
つまり、理解することと、実際に行動を切り替えることは別なのです。
そのため、同じ指示を何度も繰り返すより、
「あと1回で終わり」
「タイマーを見てみよう」
「ゲームを終えたら次は宿題」
など、切り替えるための手がかりを示したほうが分かりやすい場合があります。
「どうしてできないの?」ではなく、
「どうすれば次へ進みやすいだろう?」
と考えてみることが、関わり方を見つけるヒントになります。

選べる場面では「小さな選択肢」をつくってみましょう
次の予定そのものは変えられなくても、その中でお子さまが選べることをつくれる場合があります。
例えば、お風呂へ行かなければならないときに、
「今すぐお風呂!」
だけではなく、
「青いタオルと黄色いタオル、どっちを持っていく?」
と聞いてみる。
公園から帰るときなら、
「歩いて帰る?それとも自転車まで競争する?」
朝の着替えなら、
「赤い服と青い服、今日はどっちにする?」
という方法です。
大人が決めたことに従うだけではなく、「自分で選んだ」という感覚があることで、次の行動へ移りやすくなることがあります。
ただし、選択肢を増やしすぎると、かえって迷ってしまうこともあります。
2つ程度の分かりやすい選択肢から始めてみるとよいでしょう。
また、「帰る・帰らない」のように、本当は選べないことを選択肢にしないことも大切です。

うまく切り替えられたときこそ声をかけてみましょう
切り替えられなかったときには注意する一方で、うまくできたときは、そのまま次へ進んでしまうことがあります。
しかし、実は切り替えられた瞬間こそ大切です。
例えば、
「タイマーが鳴ったらゲームを終われたね」
「まだ遊びたかったけど、自分で片付けられたね」
「予定が変わったけど、次のことを聞けたね」
と、具体的に伝えてみましょう。
「えらいね」だけではなく、何ができたのかを言葉にすることで、お子さま自身も「こうすればいいんだ」と気づきやすくなります。
昨日は10分かかったけれど、今日は5分で切り替えられた。
泣いたけれど、自分から「まだやりたかった」と言えた。
タイマーが鳴ったら、自分でゲームを止められた。
こうした小さな変化も、大切な成長です。

いつもうまくいく方法を探す必要はありません
ここまでさまざまな方法をご紹介しましたが、同じ方法を使えば毎回必ずうまくいくわけではありません。
お子さまも、
疲れている日。
眠い日。
学校で嫌なことがあった日。
いつも以上に遊びへ夢中になっている日。
など、その日の状態によって切り替えやすさが変わります。
また、「タイマーが合う子」もいれば、「あと3回」のほうが分かりやすい子もいます。
大切なのは、「この方法なら絶対に切り替えられる」という正解を探すことではなく、その子が切り替えやすくなる条件を少しずつ見つけていくことです。
例えば、
「突然言うより5分前に知らせたほうがいい」
「言葉だけより予定表を見せたほうがいい」
「怒っているときは話しかけすぎないほうが落ち着きやすい」
など、お子さまなりの傾向が分かってくることがあります。
できなかった場面だけを見るのではなく、「今日は何がうまくいったのか」にも目を向けながら、その子に合った方法を探していきましょう。

次回は「切り替えやすい環境づくり」をご紹介します
今回は、気持ちの切り替えが苦手なお子さまへの声かけや関わり方についてご紹介しました。
大切なのは、
「強く言えば切り替えられる」ということではなく、切り替えやすい手がかりをつくること。
予告する。
次の予定を伝える。
気持ちを言葉にする。
選択肢をつくる。
できたことを具体的に伝える。
こうした小さな工夫を重ねることで、お子さま自身が「終わり」と「次」を少しずつ理解しやすくなっていきます。
第3弾では、声かけからさらに一歩進み、タイマー・絵カード・予定表・「見える化」などを使った、気持ちを切り替えやすくする環境づくりについて具体的にご紹介します。
「何度言っても伝わらない」という場面を、「言わなくても分かりやすい環境」に変えるための工夫を一緒に見ていきましょう。

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「予定が変わると気持ちが乱れやすい」
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