理学療法士の視点で解説|姿勢が崩れやすい子どもの原因とは?体幹との関係

白ゆりグループ

「姿勢が悪い」と言われるけれど、本当にそれだけなのでしょうか?

「何度言っても背中が丸くなってしまう…」

「食事中にすぐ肘をついたり、机に伏せてしまったりする。」

「椅子に座っていても、体が左右に傾いてしまう。」

このようなお子さまの様子に、「姿勢が悪いのは癖だから」「もっと意識すればできるはず」と感じたことはありませんか?

もちろん、姿勢が崩れる原因の一つに生活習慣が関係することもあります。しかし、お子さまによっては体の使い方や発達の特性が影響している場合もあります。

姿勢を保つためには、筋力だけでなく、バランス感覚や体の動きを調整する力、そして体幹の安定性など、さまざまな力が必要です。

ぽぷらの樹東住吉では、理学療法士の視点も取り入れながら、お子さま一人ひとりの発達や特性に合わせた運動療育を行っています。

今回は、「姿勢が崩れやすい子どもの原因」と「体幹との関係」について、分かりやすくご紹介します。

姿勢が崩れるのは「やる気がない」からではありません

「背筋を伸ばして。」

「ちゃんと座って。」

「また猫背になってるよ。」

お子さまの姿勢が気になると、このような声をかけたことがある保護者の方も多いのではないでしょうか。

一度声をかけると姿勢を直せるお子さまもいますが、数分もするとまた元の姿勢に戻ってしまうことがあります。

「さっき言ったばかりなのに…」

「やる気がないのかな?」

「ちゃんと話を聞いているのかな?」

と感じてしまうこともあるかもしれません。

しかし、姿勢を保つことは、本人の意識や努力だけでできるものではありません。

私たちは普段、何気なく椅子に座ったり立ったりしていますが、その姿勢を維持するためには、体のさまざまな機能が無意識のうちに働いています。

例えば、

  • 頭をまっすぐ支える力
  • 背中やお腹の筋肉で体を安定させる力
  • 左右のバランスを保つ力
  • 体の傾きを感じて姿勢を修正する力
  • 疲れても姿勢を維持する持久力

これらが互いに連携することで、私たちは自然に姿勢を保つことができます。

一方で、これらの力がまだ十分に育っていないお子さまは、良い姿勢を続けたくても続けられないことがあります。

たとえば、最初は背筋を伸ばして座れていても、数分すると体を支える筋肉が疲れてしまい、机にもたれたり、椅子の背もたれに寄りかかったり、足を組んだりすることがあります。

食事中に肘をついたり、宿題をしていると顔が机に近づいたりするのも、「楽な姿勢」を自然と探しているサインかもしれません。

また、姿勢が崩れやすいお子さまは、体を安定させることに多くのエネルギーを使っています。そのため、姿勢を保つことに意識が向くと、先生や保護者の話を聞いたり、文字を書いたりすることに集中しづらくなる場合もあります。

だからといって、「もっと頑張って」「背筋を伸ばして」と繰り返し声をかけるだけでは、根本的な解決につながらないことがあります。

大切なのは、「姿勢が悪い子」と考えるのではなく、「姿勢を保つことが難しい理由があるのかもしれない」という視点で、お子さまの様子を見てあげることです。

その理由を理解し、一人ひとりに合った方法で体づくりや運動遊びを取り入れていくことが、お子さまの成長につながっていきます。

体幹とは?子どもの成長に欠かせない「体の土台」

「体幹」という言葉を聞くと、腹筋や背筋を鍛えることをイメージする方も多いかもしれません。

しかし、体幹は単にお腹や背中の筋肉だけを指すものではありません。一般的には、頭や手足を除いた胴体部分と、その姿勢や動きを支える働き全体を含めて考えます。

お腹や背中、腰まわりの筋肉がバランスよく働くことで、体の中心が安定し、手足を動かしやすくなります。

体幹は、家づくりでいう「土台」のような存在です。

家の土台が不安定だと、柱や壁をしっかり立てることが難しくなります。同じように、体の中心が安定していないと、手や足を思いどおりに動かすことが難しくなる場合があります。

たとえば、椅子に座って文字を書く場面を考えてみましょう。

一見すると、文字を書くのは手や指の動きだけのように見えます。しかし実際には、骨盤や背中が安定し、体をまっすぐ支えられているからこそ、腕や手首、指を細かく動かすことができます。

体がぐらついていると、机にもたれたり、顔を近づけたり、反対の手で体を支えたりしながら書くことがあります。その結果、文字を書くことに疲れやすくなったり、長く集中することが難しくなったりすることもあります。

はさみを使う、箸を持つ、ボタンを留めるといった細かな作業も同じです。

手先を上手に使うためには、まず肩や体の中心が安定していることが大切です。体幹が安定していることで、肩や腕に余計な力が入りにくくなり、手先を動かしやすくなります。

また、体幹は運動の場面でも重要な役割を果たします。

たとえば、

  • 立った姿勢を保つ
  • 走るときに体が左右へぶれないようにする
  • ジャンプした後に姿勢を立て直す
  • 転びそうになったときに踏ん張る
  • ボールを投げたり受け取ったりする
  • 縄跳びで手足の動きを合わせる

といった動作には、体の中心を安定させる力が必要です。

ボールを投げるときも、腕の力だけで投げているわけではありません。足で地面を踏み、腰や胴体をひねり、その力を肩や腕へ伝えることで、スムーズな動きにつながります。

このように、体幹は姿勢を保つだけでなく、全身の動きをつなぐ役割も担っています。

さらに、体幹の安定は、集中しやすさにも関係します。

椅子に座っているだけで体が疲れてしまうと、お子さまは姿勢を保つことに多くの力を使うことになります。その状態で先生の話を聞いたり、課題に取り組んだりするのは、想像以上に大変です。

机に伏せる、頬杖をつく、椅子の上で何度も座り直すといった様子は、集中していないのではなく、体を支えることに疲れ、少しでも楽な姿勢を探している可能性もあります。

ただし、姿勢が崩れやすいからといって、すべてが「体幹の弱さ」だけで説明できるわけではありません。

椅子や机の高さが合っていない、足が床についていない、周囲の音や刺激が気になる、体の感覚を捉えにくいなど、さまざまな要因が関係していることがあります。

そのため、「体幹を鍛えれば解決する」と考えるのではなく、お子さまがどの場面で姿勢を保ちにくいのか、どのような動きが苦手なのかを丁寧に見ることが大切です。

体幹は、特別な筋力トレーニングだけで育つものではありません。

公園で遊ぶ、四つ這いで進む、でこぼこした道を歩く、バランスを取りながら遊ぶなど、日常のさまざまな動きの中で少しずつ育まれていきます。

お子さまが楽しみながら全身を動かし、「できた!」という経験を積み重ねることが、姿勢や運動、手先の動きを支える体の土台づくりにつながります。

姿勢が崩れやすいお子さまによく見られるサイン

姿勢の崩れは、「猫背になる」だけではありません。

日常生活の中では、次のような様子が見られることがあります。

  • 椅子に座るとすぐにもたれかかる
  • 食事中に肘をつくことが多い
  • 机に伏せるような姿勢になる
  • 頬杖をつくことが多い
  • 長時間座っていられない
  • 床で遊んでいると、すぐ寝転んでしまう
  • 字を書くときに顔が机へ近づく
  • 立っていると片足に体重をかけることが多い

もちろん、これらが見られるからといって、必ずしも発達上の課題があるとは限りません。

ただ、「姿勢を保つことが苦手なのかな?」という視点でお子さまを見てみると、これまで気づかなかった困りごとが見えてくることがあります。

理学療法士の視点では「姿勢」は全身を見て考えます

姿勢が崩れる原因を考えるとき、「腹筋や背筋が弱いから」と思われることがあります。

しかし、理学療法士は筋力だけではなく、体全体の使い方やバランス、動きの特徴などを総合的に見ながら考えます。

例えば、姿勢を保つためには、

  • バランスを取る力
  • 左右の体を協調して使う力
  • 関節を安定させる力
  • 体の位置を感じ取る感覚

など、さまざまな要素が関係しています。

そのため、お子さまによって姿勢が崩れる理由は異なります。

だからこそ、「姿勢を良くしよう」と繰り返し声を掛けるだけでは改善しないこともあります。

まずは、お子さまがどのような場面で姿勢を保ちにくいのかを知り、その子に合った方法で支援することが大切です。

ぽぷらの樹東住吉で大切にしていること

ぽぷらの樹東住吉では、理学療法士の視点も取り入れながら、お子さま一人ひとりの発達段階や特性に合わせた運動療育を行っています。

姿勢を「正しくする」ことだけを目的にするのではなく、遊びや運動を通して楽しく体を動かしながら、体幹やバランス感覚、体の使い方を育むことを大切にしています

「できなかったことができた!」

そんな小さな成功体験を積み重ねることが、お子さまの自信や「また挑戦してみよう」という気持ちにつながります。

次回は、「すぐ寝転ぶ」「椅子に座っていられない」など、ご家庭や園・学校で見られる姿勢のサインについて、理学療法士の視点も交えながら詳しくご紹介します。

お子さまの「姿勢」が気になったら、まずはお気軽にご相談ください

運動療育型児童デイぽぷらの樹東住吉では、理学療法士を含むスタッフが、お子さま一人ひとりの発達や特性に合わせた運動療育を行っています。

「姿勢が気になる」「体幹を育てたい」「運動が苦手で心配」など、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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