発達性協調運動症(DCD)の子どもへの関わり方とは?家庭でできる工夫と運動療育【第3弾】

白ゆりグループ

第1弾では、発達性協調運動症(DCD)とはどのような特性なのか、そして「単なる不器用さ」とは何が違うのかについてご紹介しました。

第2弾では、着替えや食事、文字を書くこと、体育や遊びの場面など、ご家庭や学校生活の中で見られる具体的なサインについてお伝えしました。

記事を読みながら、

「もしかすると、うちの子にも当てはまるところがあるかもしれない」

「これまで“少し不器用なだけ”と思っていたけれど、本人は困っていたのかな」

「苦手なことを何度も練習させてきたけれど、この関わり方でよかったのかな」

と感じた保護者の方もいらっしゃるかもしれません。

お子さまの困りごとに気づいたとき、保護者の方が「何とかできるようにしてあげたい」と思うのは、とても自然なことです。

しかし、発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまにとって、苦手な動きを何度も繰り返すことが、必ずしも自信や成長につながるとは限りません。

一生懸命取り組んでいるのに思うようにできない経験が続くと、

「また失敗するかもしれない」

「どうせ自分にはできない」

「怒られるからやりたくない」

という気持ちが強くなり、活動そのものを避けるようになることもあります。

大切なのは、周囲と同じ方法でできるようにすることだけではありません。

お子さまがどこで困っているのかを丁寧に見ながら、動きを小さな手順に分けたり、使いやすい道具を選んだり、分かりやすい見本を見せたりすることで、その子に合った「できる方法」を一緒に探していくことが大切です。

また、結果だけでなく、

「最後まで取り組めたね」

「昨日より少しスムーズだったね」

「自分から挑戦できたね」

と、頑張った過程や小さな変化を認めることも、お子さまの自信につながります。

小さな「できた!」を積み重ねることで、苦手なことにも少しずつ挑戦しやすくなり、「自分にもできる」という気持ちが育っていきます。

では、ご家庭ではどのような工夫ができるのでしょうか。

また、児童発達支援や放課後等デイサービスで行われる運動療育には、どのような役割があるのでしょうか。

シリーズ第3弾となる今回は、発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまへの関わり方をテーマに、ご家庭で取り入れやすい具体的な工夫と、運動療育を通して育まれる力について、分かりやすくご紹介します。

「できるようにする」より「できる方法を見つける」

お子さまが苦手なことに直面したとき、周囲の大人はつい、「何度も練習すればできるようになるはず」「苦手だからこそ頑張らせたほうがいい」と考えてしまうことがあります。

もちろん、繰り返し取り組むことで少しずつ身につくこともあります。しかし、発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまの場合、同じ方法を何度も繰り返すだけでは、かえって負担が大きくなってしまうことがあります。

たとえば、縄跳びが苦手なお子さまに、ただ何度も跳ぶ練習をさせても、縄を回す動きとジャンプのタイミングを合わせること自体が難しい場合、なかなか成功につながりません。

本人は一生懸命取り組んでいるのに、失敗が続くと、

「やってもできない」
「また失敗するかもしれない」
「みんなに見られたくない」
「もうやりたくない」

と感じるようになることがあります。

このような経験が重なると、苦手な動作だけでなく、運動や学習、新しい活動そのものに消極的になってしまうこともあります。

だからこそ大切なのは、「みんなと同じ方法でできるようにする」ことだけを目標にするのではなく、その子に合ったできる方法を見つけることです。

たとえば、縄跳びであれば、いきなり連続跳びを目指すのではなく、まずは床に置いた縄をまたぐ、片足ずつ跳ぶ、縄を回す動きだけ練習するなど、動作を小さく分ける方法があります。

着替えであれば、服を着る順番を写真や絵で示す、ボタンの大きい服を選ぶ、座って落ち着いて取り組めるようにするなど、環境を整えることで成功しやすくなることがあります。

字を書くことが苦手な場合は、太めの鉛筆や握りやすい補助具を使う、書く量を調整する、マス目を大きくする、姿勢を保ちやすい机や椅子に変えるなど、道具や環境を工夫することも一つの方法です。

大切なのは、「何ができないか」だけを見るのではなく、

「どの部分でつまずいているのか」
「どんな方法なら分かりやすいのか」
「どんな環境なら取り組みやすいのか」

を丁寧に見ていくことです。

同じ「できない」に見えても、その理由はお子さまによって異なります。

動きの順番が分かりにくい子もいれば、力加減が難しい子、姿勢を保つことに疲れやすい子、周囲の音や視線が気になって集中しにくい子もいます。

そのため、うまくいかないときに「もっと頑張ろう」と声をかけるだけではなく、「どこを変えれば取り組みやすくなるかな」と考える視点が重要です。

また、支援の中では、小さな成功体験を積み重ねることも大切です。

「全部できた」ことだけを成功と考える必要はありません。

たとえば、

「今日は自分から挑戦できた」
「途中まで一人でできた」
「前よりも姿勢を保てた」
「失敗しても、もう一度やってみようとした」

といった小さな変化も、立派な成長です。

こうした変化を具体的な言葉で伝えることで、お子さまは「できたこと」に気づきやすくなります。

「すごいね」だけではなく、

「最後までボールを見られたね」
「自分で次の動きを考えられたね」
「前よりもゆっくり丁寧にできたね」

と伝えることで、何ができたのかが分かりやすくなり、次の意欲にもつながります。

小さな「できた!」が積み重なると、お子さまの中に、

「自分にもできることがある」
「少しずつ上手になっている」
「もう一度やってみよう」

という気持ちが育っていきます。

この気持ちは、運動面の上達だけでなく、自己肯定感や新しいことに挑戦する力にもつながります。

発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまへの支援では、苦手をなくすことだけが目標ではありません。

お子さまが安心して取り組める方法を見つけ、自分なりのペースで成長を感じられるようにすることが大切です。

「できないから練習する」のではなく、「できる方法を一緒に探す」。

この視点を持つことで、お子さまの負担を減らしながら、前向きな挑戦や自信を育てていくことができます。

家庭でできる5つの工夫

① 一度にたくさんのことを伝えない

発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまは、体の動かし方だけでなく、いくつもの手順を頭の中で整理しながら行動することに負担を感じる場合があります。

たとえば朝の準備で、

「靴下を履いて、上着を着て、カバンを持って、水筒も入れてね」

と一度に伝えると、最初に何をすればよいのか分からなくなったり、途中の手順を忘れてしまったりすることがあります。

周囲から見ると、「話を聞いていない」「集中していない」と感じるかもしれません。しかし実際には、複数の指示を覚えたまま、体を動かし、順番どおりに行動することが難しい場合があります。

そのため、指示はできるだけ短く、一つずつ伝えることが大切です。

たとえば、

「まず靴下を履こう」

と伝え、できたら次に、

「次は上着を着よう」

と声をかけます。

一つの動作が終わってから次を伝えることで、お子さまは今やることに集中しやすくなります。

また、「準備して」「ちゃんとして」といった抽象的な言葉よりも、

「右足に靴下を履こう」
「カバンを玄関に置こう」
「水筒をカバンに入れよう」

のように、具体的な言葉で伝えるほうが分かりやすくなります。

家庭でできる5つの工夫

発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまへの関わりでは、苦手なことを何度も練習させるだけではなく、毎日の生活の中で「取り組みやすい方法」を整えることが大切です。

特別な道具や難しい訓練を用意しなくても、声のかけ方や環境を少し変えるだけで、お子さまの負担が軽くなり、「自分でできた」という経験につながることがあります。

ここでは、ご家庭で取り入れやすい5つの工夫をご紹介します。

① 一度にたくさんのことを伝えない

朝の準備や外出前など、時間に追われていると、

「靴を履いて、カバンを持って、水筒を入れて、早く玄関に来てね」

と、一度に複数のことを伝えてしまうことがあります。

しかし、お子さまによっては、たくさんの指示を聞きながら順番を覚え、体を動かすことに負担を感じる場合があります。途中で何をすればよいか分からなくなったり、別のことに気を取られたりすると、周囲からは「話を聞いていない」「やる気がない」ように見えることもあります。

そのようなときは、指示を一つずつ、短く具体的に伝えてみましょう。

たとえば、

「まず靴下を履こう」

と伝え、できたら、

「次はカバンを持とう」

と声をかけます。

「準備して」「きちんとして」といった曖昧な表現ではなく、「水筒をカバンに入れよう」「靴を玄関に置こう」と伝えることで、今することが分かりやすくなります。

また、言葉だけでは分かりにくい場合は、写真やイラストを使った手順表も役立ちます。

「着替える」「朝ごはんを食べる」「歯を磨く」「カバンを持つ」といった流れを見える形にしておくと、お子さま自身が次の行動を確認しやすくなります。

指示した後、すぐに行動できなくても、急かさず少し待つことも大切です。言葉を理解して動き始めるまでに時間が必要な場合があります。

一度にすべてを求めるのではなく、「一つできたら次へ」という流れを作ることで、お子さまは落ち着いて取り組みやすくなります。

② 「できたところ」を具体的に褒める

お子さまを褒めるときは、「すごいね」「えらいね」だけではなく、何ができたのかを具体的に伝えることが大切です。

たとえば、ボールをうまく受け取れなかったとしても、

「最後までボールを見られたね」

「両手を前に出せたね」

「失敗しても、もう一度やってみたね」

と、できた部分や頑張った過程を見つけることができます。

着替えの場面でも、すべて一人でできなかったとしても、

「自分で袖に腕を通せたね」

「ボタンを一つ留められたね」

「途中で諦めずに続けられたね」

と伝えることができます。

結果だけを見ると、「できた」「できなかった」の二つに分かれてしまいます。しかし、実際にはその途中にもたくさんの成長があります。

自分から挑戦できたこと、助けてほしいと伝えられたこと、失敗しても気持ちを切り替えられたことも、大切な成長です。

また、

「ゆっくり手を動かしたから、きれいに切れたね」

「足元を見ていたから、転ばずに歩けたね」

と、うまくいった理由まで伝えると、お子さまは次に生かしやすくなります。

褒めた後に、「次はもっとできるよね」「今度は全部一人でやろうね」とすぐに次の課題を出すと、達成感が薄れてしまうことがあります。

まずは、その日にできたことを一緒に喜びましょう。

具体的に認めてもらう経験が重なることで、お子さまの中に「自分にもできることがある」という自信が育っていきます。

③ 兄弟姉妹や友達と比較しない

子育てをしていると、同じ年齢の友達や兄弟姉妹と比べてしまうことがあります。

「お兄ちゃんは同じ年齢の頃にはできていた」

「クラスのみんなはできているのに」

「もう少し頑張れば追いつけるよ」

こうした言葉は、励ますつもりで伝えていても、お子さまには「自分はほかの子よりできない」と受け取られることがあります。

発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまは、周囲と同じように努力していても、動きを身につけるまでに時間がかかることがあります。

そのため、比較する相手は友達や兄弟姉妹ではなく、少し前のお子さま自身にしてみましょう。

たとえば、

「前は全部手伝っていたけれど、今日は途中まで一人でできたね」

「先月より長く片足で立てるようになったね」

「前より落ち着いて文字を書けたね」

と、小さな変化を伝えます。

技術が大きく上達していなくても、活動に参加できるようになったこと、失敗してもやり直せたこと、困ったときに助けを求められたことも立派な成長です。

「あなたはあなたのペースで大丈夫」

「少しずつできることが増えているね」

という言葉は、お子さまに安心感を与えます。

周囲と比べるのではなく、その子なりの変化に目を向けることで、お子さまも保護者の方も成長を感じやすくなります。

④ 苦手なことばかり練習しない

苦手なことがあると、「できるようになるまで繰り返し練習させたほうがよい」と考えることがあります。

しかし、失敗が続く活動ばかりに取り組むと、

「またできないかもしれない」

「失敗するところを見られたくない」

「運動は嫌い」

という気持ちが強くなる場合があります。

そこで、苦手な動きを練習するときは、お子さまの好きなことや得意な遊びを取り入れてみましょう。

電車が好きなお子さまなら、床に線路を作り、その上をバランスを取りながら歩く遊びができます。

動物が好きなお子さまなら、クマ歩きやカエル跳びなど、動物の動きをまねしながら体を動かすことができます。

音楽が好きなお子さまなら、曲に合わせて手拍子をしたり、「音楽が止まったら動きを止める」といった遊びも楽しめます。

好きなものと組み合わせることで、「練習しなければならない」という負担が減り、自然に必要な動きを経験できます。

また、長時間続けるのではなく、

「今日は3回だけやってみよう」

「5分できたら好きな遊びをしよう」

と短く区切ることも大切です。

最初に得意な遊びをして、途中で少し苦手な動きに挑戦し、最後は楽しい活動で終わると、前向きな気持ちを残しやすくなります。

苦手なことを克服することだけではなく、「体を動かすことは楽しい」「やってみたら少しできた」と感じる経験を増やすことが大切です。

⑤ 成功しやすい環境を作る

お子さまがうまくできないとき、本人の努力だけに原因を求めるのではなく、道具や場所、時間の使い方を見直すことも大切です。

まず、準備や着替えに時間がかかる場合は、少し早めに始めるようにします。

急いでいるときに、

「早くして」

「まだ終わっていないの?」

と繰り返し言われると、焦りによって体が動きにくくなることがあります。

時間に余裕があるだけでも、落ち着いて取り組みやすくなります。

道具を使いやすいものに変えることも効果的です。

字を書くことが苦手であれば、太めの鉛筆や握りやすい補助具、大きめのマス目を使う方法があります。

食事では、滑りにくい食器、持ちやすいスプーン、縁のある皿を選ぶことで、こぼしにくくなることがあります。

着替えでは、大きめのボタン、伸びやすい服、面ファスナーの靴を選ぶことで、自分でできる場面を増やせます。

使いやすい道具を選ぶことは、甘やかすことではありません。お子さまが自分でできる経験を増やすための環境調整です。

また、複雑な動きは、小さな手順に分けて見せると分かりやすくなります。

ボタン留めであれば、

  1. ボタンをつまむ
  2. 反対の手で穴を広げる
  3. ボタンを少し穴に入れる
  4. 反対側から引っ張る

というように、一つずつ確認します。

言葉だけで説明するより、ゆっくり見本を見せたり、一緒に動いたりすることで理解しやすくなるお子さまもいます。

周囲の音や人の動きが気になりやすい場合は、テレビを消す、机の上の物を減らす、静かな場所で行うなど、集中しやすい環境を作ることも役立ちます。

「もっと頑張ればできるはず」と考えるのではなく、

「どこを変えれば取り組みやすくなるかな」

「道具を変えたらどうかな」

「手順を分けたら分かりやすいかな」

と考えることが大切です。

環境を少し整えることで、これまでの「できない」が「できた」に変わることがあります。

家庭でできる工夫に、すべてを一度に取り入れる必要はありません。まずは、お子さまが特に困っている場面を一つ選び、無理なくできそうな方法から試してみましょう。

その子に合う方法は一人ひとり異なります。うまくいかなければ方法を変えながら、お子さまと一緒に「できる方法」を探していくことが大切です。

一人ひとりの「できた!」を大切に

発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまへの支援では、「苦手をなくすこと」がゴールではありません。

大切なのは、お子さま一人ひとりの発達や特性に合わせて、「できる方法」を見つけ、自信につながる成功体験を積み重ねることです。

運動療育では、遊びや運動を通して体を動かす楽しさを感じながら、バランス感覚や体の使い方だけでなく、集中力や「やってみよう」という気持ちも育んでいきます。

お子さまの可能性は、一人ひとり異なります。その子に合った関わり方を見つけながら、小さな成長を積み重ねていくことが何より大切です。

焦らず、一歩ずつ成長を見守ることが大切です

発達性協調運動症(DCD)のあるお子さまは、周囲と同じ方法では難しさを感じることがあります。しかし、それは「できない」ということではありません。

お子さま一人ひとりに合った方法や環境を整え、小さな「できた!」を積み重ねることで、自信や挑戦する気持ちは少しずつ育っていきます。

大切なのは、周囲と比べることではなく、お子さま自身の成長を見守ることです。一人で悩まず、必要に応じて専門的な支援も活用しながら、お子さまに合った「できる方法」を一緒に見つけていきましょう。

お子さまの「できた!」を一緒に育んでいきませんか?

「運動が苦手だけど大丈夫かな?」

「うちの子に合った支援を知りたい」

「学校生活での困りごとを相談したい」

そんなお気持ちがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

運動療育型児童デイぽぷらの樹東住吉では、お子さま一人ひとりの発達段階や特性に合わせた運動療育を行い、小さな成功体験を積み重ねながら、自信や自己肯定感を育む支援を大切にしています。

見学・体験利用も随時受け付けています。

お電話でのお問い合わせ:06-6773-9583

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お気軽にお問い合わせください。スタッフ一同、心よりお待ちしております。

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