理学療法士の視点で解説「すぐ寝転ぶ」「椅子に座っていられない」は体からのサインかもしれません【第2弾】

白ゆりグループ

「落ち着きがない」のではなく、体が疲れているのかもしれません

前回の記事では、子どもが姿勢を保つためには、体幹だけでなく、バランス感覚や体の位置を感じ取る力、手足を協調して動かす力など、さまざまな働きが関係していることをご紹介しました。

姿勢は、「背筋を伸ばそう」と意識するだけで、長く保てるものではありません。

私たちは椅子に座っているときも、頭や背中、骨盤を支えながら、無意識のうちに体の傾きを調整しています。大人にとっては何気ない動作でも、体の使い方がまだ発達の途中にあるお子さまにとっては、座り続けること自体が大きな負担になっている場合があります。

実際に保護者の方からは、

「食事が始まると、すぐ肘をついてしまう」

「宿題を始めたばかりなのに、机へ伏せてしまう」

「椅子に座っていると、体が左右に傾いたり、ぐにゃぐにゃしたりする」

「遊んでいても、少しすると床へ寝転んでしまう」

「何度声をかけても、良い姿勢が続かない」

といったお悩みを伺うことがあります。

こうした様子が続くと、

「落ち着きがないのかな」

「集中力が続かないのかな」

「やる気がないのでは?」

「何度言っても直さないのは、話を聞いていないから?」

と心配になることもあるでしょう。

周囲のお友達が座って活動している中で、自分の子どもだけが姿勢を崩していると、保護者の方が焦りや不安を感じるのも無理はありません。

しかし、お子さまによっては、「座りたくない」のではなく、座り続けることがつらい場合があります。

体をまっすぐ支えるためには、お腹や背中、腰まわりの筋肉を使い続けなければなりません。バランスを取りにくかったり、姿勢を保つ力がまだ十分に育っていなかったりすると、座っているだけでも体が疲れやすくなります。

そのため、机へ肘をついたり、背もたれへ寄りかかったり、床へ寝転んだりして、少しでも体を休ませようとすることがあります。

また、何度も座り直したり、足をぶらぶらさせたりする様子も、単に落ち着きがないのではなく、体が楽になる位置を探しているサインかもしれません。

姿勢を保つことに多くの力を使っていると、先生や保護者の話を聞く、文字を書く、食事をする、工作に取り組むといった別の活動に使える力が少なくなることもあります。

もちろん、すぐ寝転ぶ、椅子に座っていられないといった様子が、すべて体幹や姿勢の問題によるものとは限りません。

眠気や体調、その日の疲れ、椅子や机の高さ、周囲の音や人の動き、活動への興味など、さまざまな要因が関係します。

だからこそ、行動だけを見て「落ち着きがない」と判断するのではなく、

「どの場面で姿勢が崩れやすいのか」

「どれくらい座ると疲れてくるのか」

「机や椅子は体に合っているか」

「体を動かした後は座りやすくなるか」

といった点を丁寧に見ていくことが大切です。

見方を少し変えるだけで、お子さまの行動は「困った行動」ではなく、体から発せられているサインとして捉えられるようになります。

今回は、理学療法士の視点も交えながら、「すぐ寝転ぶ」「椅子に座っていられない」といった姿勢のサインが見られる背景や、ご家庭・園・学校で確認したいポイントについて分かりやすくご紹介します。

「すぐ寝転ぶ」のは楽をしているからではないこともあります

お子さまが遊んでいる途中や宿題の最中、食事の後などに、突然床へゴロンと寝転んでしまうことはありませんか?

保護者の方からは、

「何もしないで、いつも寝転んでいます」

「少し座っていただけなのに、すぐ床へ横になります」

「『ちゃんと座って』と声をかけても、しばらくするとまた寝転んでしまいます」

といったお話を伺うことがあります。

周囲から見ると、元気がないように見えたり、やる気がないように感じたりすることもあるでしょう

特に、宿題や片付けなど、お子さまがあまり得意ではない活動の途中で寝転ぶと、

「嫌だから逃げているのかな」

「面倒だからやらないのかな」

「怠けているのでは?」

と思ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、理学療法士の視点では、寝転ぶ行動を「やる気の問題」だけで判断せず、体を休ませようとしている可能性も考えます。

座っているだけでも体は働いています

椅子に座る、床に座る、立ったまま活動するといった姿勢では、体が倒れないように、お腹や背中、腰まわりなどの筋肉が常に働いています。

また、頭の位置を保ったり、体の傾きを感じて戻したり、足やお尻でバランスを取ったりする力も必要です。

大人にとっては「ただ座っているだけ」に見えても、お子さまによっては、姿勢を保つために多くの力を使っていることがあります。

その状態が続くと、体は少しずつ疲れてきます。

すると、

  • 机へ肘をつく
  • 背もたれへ強くもたれる
  • 頬杖をつく
  • 机へ伏せる
  • 床へ寝転ぶ

といった姿勢が見られることがあります。

これらは、体を支える負担を少しでも減らすために、お子さま自身が無意識に選んでいる姿勢かもしれません。

床へ寝転ぶと、背中やお腹で体を支え続ける必要が少なくなります。そのため、お子さまにとっては、疲れた体を休ませやすい姿勢になることがあります。

「体を休ませたい」というサインかもしれません

たとえば、宿題を始めた直後は座れていても、10分ほどすると机へ伏せたり、床へ寝転んだりする場合があります。

このようなときは、勉強への意欲だけでなく、

「姿勢を保つことに疲れていないか」

「文字を書くことと座り続けることを同時に行うのが負担ではないか」

という視点も大切です。

また、公園で遊んだ後や学校から帰宅した直後に寝転ぶことが多い場合は、一日の活動によって体が疲れている可能性もあります。

反対に、元気なときでも床遊びになるとすぐ寝転ぶ場合は、座った姿勢よりも横になった姿勢のほうが、遊びやすい、手を使いやすい、周囲を見やすいと感じていることもあります。

つまり、同じ「寝転ぶ」という行動でも、その理由は一人ひとり異なります。

寝転ぶ前後の様子を見てみましょう

寝転ぶことが気になるときは、すぐに注意する前に、どのような場面で起こりやすいのかを見てみましょう。

たとえば、

  • どのくらい座った後に寝転ぶのか
  • 食事、宿題、遊びなど、特定の活動で多いのか
  • 学校や外出の後など、疲れている時間帯に多いのか
  • 椅子より床座りのときに多いのか
  • 寝転んだ後、少し休むと活動へ戻れるのか
  • 体を動かした後のほうが座りやすいのか

といった点を確認します。

こうした様子を記録しておくと、「宿題を始めて10分ほどで崩れやすい」「学校から帰った直後に多い」など、お子さまなりの傾向が見えてくることがあります。

傾向が分かれば、活動の前に少し休憩を入れる、短い時間で区切る、座る環境を整えるなど、対応も考えやすくなります。

注意するだけでは改善しないこともあります

お子さまが寝転ぶたびに、

「ちゃんと座って」

「だらだらしないで」

「寝転ばないの」

と繰り返し注意しても、体が疲れていること自体は変わりません。

一度は座り直せても、しばらくするとまた同じ姿勢へ戻ってしまうことがあります。

このようなときは、注意を増やすよりも、

「少し疲れたかな?」

「一度休憩してから続けようか」

「椅子の高さは合っているかな?」

と、体の状態や環境へ目を向けることが大切です。

たとえば宿題であれば、最初から長く座らせるのではなく、10分取り組んだら一度立って体を動かすなど、短い休憩を挟む方法があります。

足が床につかない場合は足台を置き、椅子に深く座りやすくすることで、姿勢が安定することもあります。

床で遊ぶ場合は、無理に正座やあぐらを続けさせず、クッションや低い机を使うなど、お子さまが取り組みやすい姿勢を一緒に探してみましょう。

寝転ぶことだけを悪い行動にしないことが大切です

寝転ぶこと自体は、必ずしも悪い行動ではありません。

疲れたときに体を休めることは、大人にも子どもにも必要です。

大切なのは、寝転ぶことをすぐに禁止するのではなく、

「なぜこの場面で寝転ぶのだろう?」

「何が負担になっているのだろう?」

「どうすれば少し楽に取り組めるだろう?」

と考えることです。

行動の背景に目を向けることで、「怠けている」と見えていた姿が、実はお子さまなりに体を調整しようとしているサインだったと気づくことがあります。

寝転ぶ時間や回数が多い、生活や学習に影響している、疲れやすさが強いなど、気になる様子が続く場合は、ご家庭だけで抱え込まず、園や学校、支援機関などへ相談することも大切です。

お子さまの体の使い方を丁寧に見ながら、その子に合った休み方や活動の進め方を見つけていきましょう。

座りやすさを確認するポイント

お子さまが椅子に座っていられないときは、次のような点を確認してみましょう。

  • 足の裏が床や足台についているか
  • 椅子が高すぎたり低すぎたりしないか
  • 机が高く、肩へ力が入っていないか
  • 座面が広すぎて、背もたれまで届かなくなっていないか
  • 宿題や食事の時間が長すぎないか
  • 疲れている時間帯ではないか
  • 周囲の音や物が気になっていないか
  • 体を動かした後のほうが座りやすくなるか

こうしたポイントを確認すると、お子さまが座りにくい理由を考えやすくなります。

たとえば、学校から帰った直後は疲れて座れないけれど、少し休んだ後なら宿題に取り組めることがあります。

また、10分程度なら座れるけれど、20分を超えると姿勢が崩れる場合は、短い時間で区切り、間に休憩を入れる方法もあります。

家庭や園・学校で見られる姿勢のサイン

姿勢の崩れは、日常生活のさまざまな場面で見られます。

例えば、ご家庭では、

  • 食事中に肘をつくことが多い
  • テレビを見るとき寝転んでいる
  • 宿題をすると机へ顔が近づく
  • 工作やお絵描きを長く続けられない

といった様子が見られることがあります。

また、園や学校では、

  • 朝の会で座っているのがつらそう
  • 体育の整列でふらつく
  • 長時間椅子へ座っていることが苦手
  • 工作や書字で疲れやすい
  • 机にもたれながら活動している

などの様子が見られることもあります。

もちろん、一つ当てはまるだけで心配する必要はありません。

大切なのは、「どんな場面で姿勢が崩れやすいのか」を知ることです。

理学療法士の視点で見る「姿勢」と「集中力」の関係

「うちの子は集中力がありません。」

これは保護者の方からよくいただくご相談の一つです。

しかし、理学療法士は集中力だけでなく、「姿勢を保つためにどれくらい力を使っているか」という点にも注目します。

例えば、大人でも不安定な椅子に座り続けながら話を聞くのは大変です。

体を支えることに意識が向いてしまい、話の内容が頭に入りにくくなることがあります。

お子さまも同じように、姿勢を保つことに多くの力を使っていると、先生の話を聞いたり、文字を書いたりする余裕が少なくなることがあります。

そのため、「集中できない」のではなく、「姿勢を保つことに精一杯」という場合もあるのです。

姿勢と集中力は、それぞれ別のものではなく、お互いに影響し合っています。

気になる様子が続くときは、一人で悩まないでください

お子さまの姿勢や体の使い方は、一人ひとり異なります。

「すぐ寝転ぶ」

「椅子に座っていられない」

「姿勢が崩れやすい」

これらの様子が見られても、必ずしも同じ原因とは限りません。

だからこそ、お子さまの体の使い方や発達の様子を丁寧に見ながら、その子に合った関わり方を考えていくことが大切です。

次回の第3弾では、ご家庭で無理なく取り入れられる体幹遊びや、理学療法士の視点を取り入れた運動療育についてご紹介します。

「遊び」を通して、どのように姿勢や体の使い方を育んでいくのか、一緒に見ていきましょう。

お子さまの姿勢や体の使い方で気になることはありませんか?

運動療育型児童デイぽぷらの樹東住吉では、理学療法士を含むスタッフが、お子さま一人ひとりの発達や特性に合わせた運動療育を行っています。

「すぐ寝転んでしまう」「姿勢が気になる」「座っているのが苦手」など、お子さまの様子で気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ・ご見学はこちら

📞 お電話でのお問い合わせ:06-6773-9583

🌐 ウェブからのお問い合わせ
https://www.shirayuri-group-2004.com/contact/

スタッフ一同、お子さま一人ひとりの成長をサポートできるよう、お手伝いさせていただきます。😊

記事URLをコピーしました